家づくりをしていた頃、私たちは、まだ起きてもいない未来のことまで、何度も考えることになりました。
子どもが健やかに育つには。
子どもが成長したら。
夫婦二人の暮らしになったら。
そして、自分たちが年齢を重ねたら。
未来の困りごとを想像すると、すべてを安全なほう、負担の少ないほうへ決めたくなります。
けれど、まだ起きていない不便を避けることばかり考えていると、これから何十年と続く日々の中で、自分たちが本当に大切にしたかったものまで手放してしまう気もしました。
わが家が2階リビングを選んだのは、老後のことを考えていない、からではありません。
心配は残したまま、それでも、自然光や穏やかな景色のある場所で過ごしたいと思ったからです。
その両方を諦めないために考えたのが、生活に必要な場所を2階に集めた、「2階にある平屋」のような間取りでした。

2階で暮らしたい。でも、何度も階段を使いたくない
以前の記事「2階リビングの夏は暑い? 6年暮らした実録」でも少し触れましたが、わが家が2階リビングを希望した理由はいくつかあります。
カーテンのない生活がしたかったこと。
道を歩く人や車の気配から少し離れて、落ち着いて過ごしたかったこと。
窓から景色や光を取り込み、開放感のあるリビングにしたかったこと。
自分たちが家の中でいちばん長く過ごす場所を、いちばん心地よいと思える場所につくりたいと考えていました。
一方で、生活の中心を2階にするということは、階段の上り下りは避けられません。
当時から「老後に2階リビングは大変ではないか」という不安はありました。
例えば、2階にリビングがあり、洗面や浴室は1階にある。
洗濯のたび、入浴のたび、身支度のたびに、階段を上り下りする。
そんな暮らしでは、若いうちから負担を感じてしまいそうです。
そこで私たちは、リビングだけを2階へ持っていくのではなく、日中の暮らしそのものを2階へまとめることにしました。
暮らしをまとめて、平屋のように
わが家では、リビングと同じ2階に、
- キッチン
- ダイニング
- 洗面
- 浴室
- ランドリールーム
- ファミリークローゼット
- トイレ
を集めています。
朝、1階の寝室から2階へ上がれば、着替えも、料理も、洗濯も、入浴も、家族で過ごす時間も、ほとんど同じ階で完結します。
平屋のように、ワンフロアで暮らす感覚です。

これは暮らしてみて、想像以上に快適でした。
何をするにも、すぐ手が届く。
トイレは1階にも設けました。
夜、寝室へ下りたあとに、トイレのためだけに2階へ戻らなくて済みます。
これは、家族が熱を出してしまった時の隔離スペースとして寝室を使った時にも役に立ちました。
階段をなくすことはできない。
それなら、一日の中で使う回数をできるだけ減らす。
2階で暮らしたいという気持ちと、将来の負担への心配。そのどちらかをなかったことにするのではなく、間取りの中で折り合いをつけていきました。
「2階にある平屋」と言ってはみましたが、最初から格好のよい言葉として考えていたものではありません。
叶えたい暮らしの風景を諦めず、不便と不安を少しでも減らしたいと考えた結果、できあがった形でした。
ホームエレベーターは、今はつけないことにした
家づくりの途中では、ホームエレベーターのお話も出ました。
設置すれば、いつか階段の上り下りが難しくなったときの助けになります。
ただ、私たちには、まだ使わない設備のために費用と場所を用意することが、大きすぎるように感じました。
それなら、本当に必要になったとき、そのときの私たちに合う方法を考えよう。
そう思って、採用は見送りました。
将来のことを先送りにした、とも言えるのかもしれません。
でも、何十年後にどんな体で、どんな暮らしをしているのかは、今の私たちには分かりません。
分からないものを、無理に今決めなくてもいい。
暮らしが変わったら、そのときに家のほうも変えていけばいい。わが家には、その考え方がしっくりきました。
6年暮らして分かった、現実的な不便
もちろん、2階リビングの不便がなくなったわけではありません。
いちばん階段を意識するのは、買い物から帰ってきたときです。
キッチンが2階にあるので、スーパーで買った食材は2階まで運びます。
水やビールなど特に重いものは1階の物置に置いていますが、普段の食材もまとめ買いをした日は、やっぱり重いです。
今は運べていても、この先ずっと同じようにできるとは限りません。
だから、「老後も大丈夫」とは言い切れません。

それでも、一度2階へ上がれば、日中は料理も洗濯も入浴も、ほぼ同じ階で済みます。
何度も上下しなくてよい間取りは、6年暮らした現在も、わが家には合っています。
暮らしやすさは一つではなかった
家は、できるだけ不便が少ないほうがいい。
将来困らないように、準備できることはしておきたい。
それは今も変わりません。
でも、6年暮らしてみて、暮らしやすさというのは「移動が少ない」「荷物を運びやすい」といったことだけではないのだと思うようになりました。
朝、階段を上がった先に、明るいリビングがあること。
道を歩く人の視線を気にせず、カーテンのない窓のそばで過ごせること。
空や光を近くに感じながら、家族で一日を過ごせること。
そういう、数字では測れないものにも、毎日ずいぶん助けられています。

一方で、まとめ買いの日には「やっぱり重いな」と思います。
この先、階段がもっと大変になる日も来るかもしれません。
よかったことと、不便なこと。
どちらも本当です。
その両方を抱えながら、それでもこのリビングが好きだと思える。それが、6年暮らした今の答えです。
まとめ|6年前の選択を、今も好きでいる
「老後も2階リビングで大丈夫?」
その答えは、まだ出ていません。
今は上れている階段が、いつか負担になるかもしれない。そのときには、リフォームをするのか、暮らし方を変えるのか、そのときの私たちに合う方法を考えることになります。
でも今のところ、朝、階段を上がって明るいリビングに入るたびに、この場所でよかったと思います。
未来のために今を我慢しすぎず、今のために未来を見ないふりもしない。
その間を探しながらできあがったのが、わが家の「2階にある平屋」でした。
もう一度家を建てるとしても、きっと同じように迷うと思います。
それでも最後には、また2階にリビングをつくる気がします。
6年前に迷いながら選んだ場所を、今も好きでいられる。
今は、それで十分だなと、感じています。








ご質問、コメントなどお気軽にどうぞ